担当者は、これまでより手続きがだいぶ楽になると話します。
東京都 原田一紀旅券課長
「新規の場合、戸籍謄本を取りに別の役所に行かなければならなかった。行かなくていいので、かなり省力化できる」
マイナンバーカードを持っていれば、オンラインで申請できるようになり、戸籍謄本の提出は不要。しかも、手数料が400円安くなります。さらに、偽造を防止するため、今まで紙でできていた顔写真のページがICチップが一体化したプラスチック製になり、個人情報はレーザーで印字されます。
パスポート申請者
「知らなかった。(Q.オンラインなら便利だと思う)多少、心配はあるかもだが。申請は、ネットからできて受け取りは?(直接、受け取りに来ます)。そうなんだ。だったらどっちでもいいかも」
パスポート申請者
「時間を取られるのが、一番、嫌なので、自分の空いている時間に手続きができて、それだけで済むのであればいい」
戦後、初めて観光目的でパスポートが発行されたのが、東京オリンピックが開催された1964年。この年に海外旅行が自由化されました。当時は、年1回までに制限され、ハワイ旅行(7泊)は現在の物価で約400万円と、まさに“高嶺の花”でした。
その後、バブル期にかけて、アウトバウンドの数は右肩上がり。2019年には、最多の2008万人まで増えますが、コロナで急減します。
観光庁 秡川直也長官
「いま、円安ですよね。日本人的には“内向き志向”というか。若い人はあまり出ていかないとか」
さらに、パスポートの保有率は、コロナ以降、年々減少し、17%。6人に1人しか持っていません。海外と比べると非常に低くなっています。
ただ、新しいパスポートは、“この状況を打開する一手になる”と、政府は強く期待します。
観光庁 秡川直也長官
「海外旅行に行こうよという雰囲気を出して、機運が、少しでも変わればいいかな」
◆観光庁は「官民一体で海外旅行を促進する」としていますが、新しいパスポートが決め手になるのでしょうか。
日本人の海外旅行者数を表したグラフを見ますと、海外旅行に行く人は、毎年、1000万人を超える状況で、コロナ前には、初めて2000万人を突破。しかし、コロナ禍で旅行者は落ち込み、コロナが明けても、長く続く円安の影響もあってか、以前の水準までは、回復していない状況です。
日本人の海外旅行の減少は、海外でも影響が出ているということです。
◆航空・旅行アナリストの、鳥海高太朗さんに聞きました。
「実感として、日本語表記が減っている。10年前には、海外の航空会社でも日本を発着する便には、日本語が話せる客室乗務員がいたが、いまは、減った感覚がある。日本語のアナウンスがないことも増えている」 といいます。ほかにも、「人気の観光地でも、レストランに日本語のメニューがないことが多い」と話します。
実際、鳥海さんは、1月にイギリスに行かれたそうなんですが、その際も、「中国語のメニューはあったが、日本語はなかった。団体旅行が減ったことが、背景の一つでは」と指摘します。
鳥海さんは「例えば、“推し旅”=大谷選手を見にロスに行く、などのような明確な目的がないと、いまは海外旅行に行かない。海外に行く人と行かない人の、はっきりとした“二極化”が進んでいる」といいます。
日本旅行業協会は「パスポートを新たに取得した人に対して、キャッシュバックや割引、ポイント付与などの形で、旅行代金を支援することで、海外旅行の機運を高めたい」としていて、旅行会社によっては、すでにキャンペーンが始まっているところもあるということです。
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